第13章 藤堂邸

部屋の扉が、こつん、と遠慮がちに叩かれた。

「……どうぞ」

冬木澪はぱちりと目を開け、状況を飲み込むと大きく欠伸を噛み殺し、気だるげに返した。

扉が開く。藤堂湊が、湯気の立つホットミルクのカップを片手に入ってきた。

「飲んでから寝ろ。眠りやすくなる」

慣れない場所で眠れないんじゃないかと心配して、様子見ついでに持ってきたのだろう。

だが澪の、まだ夢の中に片足を突っ込んだみたいな顔を見て、湊は自分の取り越し苦労を悟った。

――ただ、湊が知らないだけだ。

冬木澪は、これまで受けてきた苦難の中で「必要なら、どこでも眠る」術を身につけていた。回復のために。生き延びるために。

同時に...

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