第14章 嵐の中心

続いて、藤堂湊の気配が窓際へ移った。外をちらりと確かめたらしい。

闇の中で、冬木澪が頼れるのは物音と、ぼんやりした輪郭だけだった。

その数秒が――一世紀みたいに長い。

彼女は手首のブレスレットに見せかけたデータ妨害装置を強く握りしめ、いざとなれば最後の自衛手段を起動するつもりでいた。

不意に、藤堂湊の低い声が落ちる。どこか、ほんのわずか緩んだ響き。

「ひとまず……安全だ」

言い終えるのとほぼ同時に、書斎の非常用バックアップ電源が「ヴン」と唸りを上げて立ち上がった。

天井の数か所から、柔らかいのに十分な明かりが灯る。息苦しい暗闇が一瞬で霧散し、部屋に色が戻った。

光が、帰ってく...

ログインして続きを読む