第21章 互いに助け合う

冬木澪は当初、それらの好意を黙殺していた。

やがて少しずつ変わり、冷えた声で礼だけ告げ、洗って乾かした保温ポットを玄関先に置くようになった。

けれど原田さんとは、結局のところ一度もまともに向き合って話をしていない。

それが変わったのは、家賃を払いに行ったときだった。冬木澪はふと視線を落とし、原田さんの引き出しの中に散らばった胃腸薬の箱をいくつも見つける。

その横には、色褪せた家族写真が一枚。写っているのは若い頃の原田さんと、見知らぬ男だけだった。

その瞬間、胸の奥に埋めてきた「家族」への渇きが、かすかに疼いたのかもしれない。冬木澪は口を開いた。

「……ひとり暮らしなんですか?」

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