第31章 冷笑

原田さんを笑顔で見送った瞬間、冬木澪の中から、さっきまでの穏やかさがすうっと剥がれ落ちた。

灯りは点けない。ひとり、床まで届く窓の前に立つ。街の灯が、まばたきするみたいに彼女の瞳の奥で明滅した。

傍らのノートは開いたまま。画面には部下からの最新情報が点滅し、続けてS市の有名女優からのコラボ依頼が届く。その上、飯は食ったかだの何だの、鬱陶しいほど気遣いまで飛んでくる。

冬木澪のチームは、彼女が全国から高い金で引き抜いて揃えた精鋭だ。待遇も悪くない。

だからこそ、彼らは甘んじて彼女をボスと呼び、誰ひとり手を抜かない。

――けれど、今の冬木澪には返信する気分がない。

彼女はスマホを手に...

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