第36章 父親を替える

夜の帳が下りると、街は極彩色のネオンに照らし出される。

冬木澪がジャージに着替え、ひとり人気の途絶えた海辺通りを走っていると――昼とは、どこか空気が違った。

冷えた川風が湿り気を含んで頬を叩き、日中の人いきれと熱を、まとめてさらっていく。

耳にはイヤホン。音楽が外の音をほとんど遮断する。

けれど、視界までは遮れない。

川沿いの広場には、早い時間から人だかりができていた。

子どもたちの甲高い歓声と追いかけっこの足音が、イヤホン越しのビートを突き破ってくる。

寄り添う恋人たちは夜空を見上げ、時折ひらく花火に、肩を寄せ合って笑った。

どこもかしこも、騒がしい。

冬木澪のペースが落...

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