第39章 証拠集め

東区、英莱マンション。

廊下は狭く、薄暗い。鼻につくほど濃い油煙の匂いが、壁に染みついている。

冬木澪のキャンバススニーカーがコンクリの階段を踏む。音は小さい。なのに、じわりと重い圧だけが残った。

彼女は歩調の乱れた小林花子を押さえつけたまま、一直線に302号室の前へ連れていく。鍵を要求する素振りすらない。掌ほどの小型機器を取り出し、鍵穴の脇にぴたりと当てた。

「ピッ」

かすかな電子音。古い鍵が、あっさりと弾けて開く。

小林花子の瞳孔が、恐怖でぎゅっと縮んだ。

「冬木澪?! あんた……あんた、前から私がここに住んでるって知ってたの?!」

冬木澪は一度だけ小林花子を見る。冷えた...

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