第48章 呼吸が交じり合う

更衣室の空気が、ようやく元に戻っていく。

藤堂湊の額に浮いた冷や汗は少し乾いた。けれど頬はまだ、異様な熱を帯びたままだ。

薬が効いているのは、あくまで「抑え込めている」だけ。そんなことは本人がいちばんよくわかっていた。

宴会場には客がぎっしりいる。もしまたあそこでぶり返したら――考えるだけで胃の奥が冷たくなる。

「……ここを出る」

藤堂湊が掠れ声で言った。視線の奥に、かすかな焦りが滲む。

「裏口に専用の通路がある。……送ってくれないか」

冬木澪は彼を一瞥した。さっき経穴を押さえた指先に、まだ皮膚越しの熱が残っている。

余計なことは聞かない。ただ淡く頷いた。

「鍵」

藤堂湊...

ログインして続きを読む