第55章 思いがけない口論

冬木澪は指先をキーボードの上で一瞬止め、短く打ち返した。

【探偵どもを張りつかせて。核心に触れさせるな】

アレクサは相変わらずの即レス。

【ボス、任せてください! こっちは私が締めます!】

冬木澪はチャット窓を閉じ、眉間をつまんでからノートを置いた。立ち上がり、コーヒーでも淹れて頭を起こすか――そう思った、その時。

コン、コン。

オフィスのドアが叩かれた。

結局、藤堂湊は我慢できず、また冬木澪のところへ来たのだ。

入口に立つ彼の手には書類一式。けれど視線だけが、はっきりと迷っている。

「協業契約の件でサインが要る。高村さんが用事で先に上がったから、俺がついでに持ってきた」

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