第58章 初対面

ノックの音が聞こえた瞬間、冬木澪は反射的に日記を引き出しへ押し込み、鍵をかけた。

ドアを開けると、藤堂湊が廊下に立っていた。いましがた通話を切ったばかりらしく、眉間には走り回った疲れがうっすら残っている。

「……やっぱり来たんだ」

藤堂湊は手にした書類袋を軽く持ち上げた。

「最近、プロジェクト『ブラックアイス』の解読で大変だったろ」

「ついでに……親父の昔の案件に関する資料も持ってきた。何か役に立つかもしれない」

冬木澪は身を引いて通し、藤堂湊を室内へ招き入れた。彼のコートに残るコーヒーの匂いが、夜風といっしょにふわりと流れ込む。

藤堂湊が腰を下ろすと、冬木澪はぬるめの水を注い...

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