第61章 嫉妬する

冬木澪はいつもの癖で通話をスピーカーに切り替えた。次の瞬間、受話口の向こうから頼りない声が届く。

「ホテルが、私が予約した部屋に不具合が出たとかで……別のところに変えてくれって……」

「確認させた」

間髪入れず、藤堂湊のメッセージが入る。

「郊外の温泉旅館、まだ空きがあるって聞いた」

冬木澪は画面を見つめて、思わず目を瞬いた。

――この人、どうしてそこまで。

すぐに、またスマホが震える。藤堂湊からだ。

【今、君の部屋の前にいる。有名な料理、食べに行こう】

……盗み聞きしてたってわけね。

冬木澪は北野星に返事をしながら、ドアへ向かった。

開けると、藤堂湊が立っていた。深い...

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