第67章 藤堂家に住み込む

冬木澪はうつむき、湖面に映る影を見つめていた。

自分の影と藤堂湊の影が、ほとんど触れ合うほど近い。さざ波に揺られて、ふわり、ふわりと形を崩す。

「プロジェクト『ブラックアイス』の件、そんなに焦るな」

不意に、湊が口を開いた。

「親父があれだけ何重にも鍵をかけたのは、俺たちが早々に巻き込まれるのを望んでないってことだろ」

「私は、あの人のためじゃない」

冬木澪は顔を上げる。

「母のためよ」

湊はすぐに頷いた。最初からそう返ってくると分かっていたみたいに。

「分かってる。でも何事にも順序ってものがある。自分を追い詰めすぎるな」

澪は、湊が本気で自分を案じているのだと知っている...

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