第7章 プライベートサイン

藤堂湊が身を翻し、身をかがめて澪を見下ろした。瞳の奥に宿るのは、拒絶など許さない圧。

「取引は――いま始まったところだ」

藤堂夫人は、息子の強硬な態度に言葉を噎した。怒りと不満を顔に貼りつけたまま、それでもただ、憎々しげに冬木澪を睨むしかない。

澪の一連の行動は、そもそも湊への試しだった。

いま、彼の明確な態度を引き出したのなら――多少やりたい放題でも、年寄りいじめにはならないだろう。

澪は胸の内で荒れ狂うものを無理やり押し殺し、視線を、なおも刃みたいに口の悪い高瀬梅子へ向けた。口調はどこか幼い、無邪気な探り。けれど瞳の底には、氷みたいな鋭光が潜む。

わざとゆっくり言う。ガムを噛...

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