第70章 決意

藤堂湊が冬木澪の正面まで歩み寄る。瞳の奥に、隠しようのない不安。

「言ったはずだ。自分から危ない場所に身を置くな」

冬木澪は彼を見上げて――そこでようやく腑に落ちた。

その瞬間、胸が熱くなるような感動はなかった。あるのは意外さと、踏み込まれたことへの不快感だけ。

「ずっと、ついてきたの?」

「おまえが家を出たときから」

切迫した状況で、藤堂湊は言い訳もしない。

そのままポケットからUSBメモリを取り出した。

「プロジェクト『ブラックアイス』でロックされてたファイルを、俺のほうで復旧させた。……おまえの父親の、あの言葉の意味が解けるかもしれない」

工場の割れた窓から風が吹き込...

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