第71章 兄弟の仲違い

冬木澪はそのままキッチンへ向かった。冷たい水でも一杯、喉に流し込みたかった。

同時に、橋本日奈の熱を帯びた視線が、ずっと背中に突き刺さっているのもわかる。けれど澪は気にしない。こんな小さな出来事は、さらりと流してしまえばいい。

橋本日奈ごときで、自分の機嫌を崩すつもりはなかった。

――もっとも。

橋本日奈は、わざわざ波風を立てたがる女だ。

藤堂湊は冬木澪の足取りに合わせるように階段を下りてきた。

橋本日奈へ視線を投げはしたが、それは邪魔な家具を見たときと同じ温度で、言葉はひと言もない。

橋本日奈は、当然胸が痛んだ。

それでも、湊に近づける機会を手放したくはない。たとえ短い接触...

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