第78章 内通者

冬木澪はスマホに保存してある日記の写真を呼び出し、そのうちの一枚の隅を指さした。

そこには、ぼんやりした横顔が描かれている。眉と目元の輪郭が――写真の杉山圭吾と、妙に重なる。

「母が昔、書いてた。データを見る目が、欲深すぎるって。本物の研究者の目じゃないって」

冬木澪の声が、すっと沈んだ。

「やっぱり……この杉山圭吾、黒だよ」

藤堂湊はその小さなスケッチを見つめ、指先が一瞬止まる。ばらばらだった欠片が、脳内で一気につながった。

「もしあいつが内通者なら……久保さんの冤罪も、親父の事故も、君の父上の失踪も、全部あいつ絡みかもしれない」

「それに、工場で久保さんを狙ったやつ」

冬...

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