第8章 技術部長

藤堂湊はほとんど迷わず頷いた。

「いい。技術部はおまえに任せる」

「湊! 正気なの?!」

高瀬梅子が、尻尾を踏まれたみたいに甲高く叫ぶ。だが声は明らかに弱っていて、恐怖が滲んでいた。

冬木澪はその声に、ぱっと振り返る。視線は氷の錐のように高瀬梅子を貫いた。

――わかっている。この怯えきった女から、いま引き出せるものはない。

本当の秘密を握っているのは、死体すら上がらない藤堂慎一だけだろう。

今は追い詰める時じゃない。

冬木澪は黙り込んだ高瀬梅子に構う気もなく、机の上の身分証をさっと帆布バッグへしまい込む。踵を返すと、そのまま大股で執務室を出て行った。

扉が閉まった瞬間――

...

ログインして続きを読む