第82章 疑念だらけ

「顔だけ出してよ、私の顔立て! 一回だけでいいから!」

「無理。時間ない」

冬木澪の拒否はあっさりしていた。

「えーっ、そこを何とか!」

竹内詩織が途端に駄々をこねる。

「撮影、あんたのH市のスタジオでやってるの。藤堂家から車で三十分だよ?」

「運転手に迎え行かせるし、たった一日。ついでに友だちとも会えるじゃん」

「そうだ、前に話した北野星も来るよ! 詩乃の現場にね。ねえ、聞きたくないの? どんな感じだったか!」

北野星の名に、冬木澪の指が一瞬止まった。

先週のレセプションで「手がかりが掴めた」と言っていたのに、結局詳しく聞けていない。

「……考えとく」

澪は完全には否...

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