第84章 祝賀会

橋本日奈がここまで転げ落ちたのは、ほかでもない、自分で選んだ道だ。

けれど彼女を深淵へ突き落とした手が、橋本家の鈍い刃を握っていたのもまた事実だった。

ようやく門柱に縋って立ち上がった橋本日奈を置いて、冬木澪は踵を返し、階段を下りる。

彼女が橋本日奈の前まで来たとき、日奈はまだ大きく息を吐き、吸い込み、肩を震わせていた。

冬木澪の声は淡い。秋風みたいに少し冷たいのに、不思議と刺さらない。

「いま崩れても意味ないわ。高瀬梅子に“嫁入り道具すら用意できない”って知られたら、もっと見下されるだけ」

「橋本家での居場所も、さらに悪くなる」

その言葉に、橋本日奈ははっと顔を上げた。瞳に浮...

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