第8章

莉奈視点

試合当日の朝、大学のキャンパスはすでに熱気に包まれていた。

今日は鳳栖大学との優勝決定戦で、街中がこの一戦に熱狂していた。私はスタジアムの外で、真の背番号12番のジャージを着て立っていた。

先週、関係を公にしてから、颯真は私と口をきいてくれなかった。でも今日、彼がどう思おうと、私は真を応援するためにここに来たのだ。

「本当にいいの?」ルームメイトの美咲が心配そうに訊いてきた。「颯真があなたを見たら、もっと怒るわよ」

「構わない」私はきっぱりと言った。「真には私が必要なの」

試合開始の二時間前、真からメッセージが届いた。「ロッカールームの外で会おう。五分だけ...

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