第25章

 そちら側では、鈴木千穂が一瞬固まり、頭の中に写真に映っていた彼と宮下遥が手を繋いで笑っている光景が浮かんだ。

 淡々と口を開いた。

 「病気なら病院に行きなさい。私は医者じゃないわ」

 言い終えると、電話を切った。

 あっさりとした口調で、まるで向こう側が本当に見知らぬ人であるかのようだった。

 江口慎吾は怒りで頬を強く噛み締め、体を震わせながら、携帯電話を壁に叩きつけた。粉々に砕け散る。

 傍らにいた田村さんは「?」という表情。

 それは彼女の携帯電話だったのに!!

 鈴木千穂の言葉に怒りで血の気が上がり、江口慎吾はさらに胃の痛みが増した。

 意地と腹立ちの気持ちから、...

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