第9章

 鈴木千穂が先に歩き、宮下大介が一歩遅れて続いた。

 昨夜の不安とは打って変わって、彼女はすっかり元気を取り戻していた。

 宮下大介が車を持ってきて、鈴木千穂は助手席に座った。

 道中、果物スーパーの前を通りかかった。

 鈴木千穂が突然口を開いた。

 「ちょっと止まってもらえる?二分だけ。果物を買いたいんだけど」

 「果物?」

 「うん、教授のために」

 宮下大介はハンドルを握りながら、少し不思議そうに尋ねた。

 「そんな面倒なことする必要ある?」

 鈴木千穂は「?」という表情を浮かべた。

 思わず笑みがこぼれる。

 「あなたいつも手ぶらで人の家に遊びに行くの?」

...

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