第50章

星野結花は、受話器の向こうから聞こえてくる押しつけがましい、やたらと馴れ馴れしい声に眉をひそめた。眉尻がじわりと下がったまま、しばらく言葉が出てこない。結局、何も言えないまま通話を切った。

――できることなら、あの一家には一生、私に関わってほしくない。

育ててもらった恩なんてない。だったら、相手の都合を満たしてやる義理もない。

「どうした」

新山晃が、結花の表情の変化に気づいたようだった。

「別に。広告の勧誘だよ」

結花は曖昧にそう返す。

……

病院。

白衣を着た若い女医が、オフィスに入ってきた。

「新山晃、やるじゃない」

女医は眼鏡のブリッジを押し上げ、検査結果の紙に...

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