第55章

「俺が暇だと思ってるのか」

新山晃が、山口昭介に冷えた声を投げた。

「でしたら以前の取り決め通り、代表を一人立てましょうか」

山口昭介はなおも探るように言う。

「大旦那様のほうには……重要な会議が入った、と私から伝えておきます」

「それはお前の仕事だ」

新山晃の声には、感情の起伏が一切ない。

「承知しました」

山口昭介は一礼し、踵を返した。だが不意に、場違いな着信音が鳴り響く。

電話に出た瞬間、山口昭介の眉間に皺が寄った。

「新山社長」

「言え」

たった二文字で、苛立ちが滲む。

「池田琉生が、奥様を婚約パーティーに招待する旨をSNSで送ってきました」

山口昭介は新...

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