第60章

安藤さんは、星野結花の嬉しそうな顔を見て、ふっと笑った。

「旦那様、昨夜は奥様に渡そうとしてたんですけどね。寝室に入る勇気が出なかったみたいで」安藤さんは続けて言う。「夫婦なんて、ひと晩一緒に過ごせば仲直りできるものですから」

――ケンカなんてしてないし。

でも、そんなことをいちいち安藤さんに説明するのも違う。

「うんうん!」星野結花はイヤリングを取り出し、少し離れた鏡の前へ行って耳たぶに掛けた。「安藤さん、どう? 似合う?」

「似合います、似合います!」安藤さんは、結花の白い肌を見て目を細める。「奥様はお肌が白いから、こういうのがいっそう映えますね」

星野結花はスマホを取り出し...

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