第64章

そう思った瞬間、新山晃の低い笑い声が星野結花の耳に落ちた。

「……何がおかしいの?」

新山晃は星野結花をひょいと抱き上げ、そのままデスクの上に座らせる。両手で腰を支え、唇の端をつり上げて言った。

「憧れだの推しだの、全部ウソだろ」

赤く染まった頬を見て、愉しそうに目を細める。

「わざと俺を煽ってんのか?」

「じゃあさ、嫉妬する?」

星野結花は腕を伸ばし、新山晃の首にふわりと絡めて笑う。

「……狂う」

薄い唇が開き、妖しい整った顔に、ほんの少しだけ甘さが混じった。

そのとき。

オフィスのドアがガチャリと開いた。

入ってきたのは山口昭介だった。

新山晃は反射的に星野結花...

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