第82章

「ゴホッ、ゴホゴホ……!」星野結花はわざとらしく、けれど力いっぱい咳き込んだ。「あなた!」

新山晃が、息を詰めて赤くなった彼女の頬へ視線を向ける。

「……何だ」

「玖は私に会いに来たのよ? それを『迷惑』みたいに言わないで」

星野結花はそう言いながら新山晃の腕をくいっと引っ張った。「そんなにきつく当たらないで? ほら、泣きそうじゃない……」

新山玖はそれを聞くなり、すぐさま目元をこしこし揉んでみせる。

「そうだよ、兄貴! 私、お義姉さんに会いに来ただけだもん!」新山玖もノリがいい。「なんでそんな怒るの? お義姉さんにはあんなに優しいくせに……」

「彼女は、お前のお義姉さんだから...

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