第85章

「ゴホッ、ゴホゴホッ!」新山玖は額を押さえた。

「俺、帰る。あとはお前らで遊べ」

新山晃はそう言うと、すっと立ち上がる。

「ばいばーい!」星野結花がにこにこ手を振った。

新山晃は新山玖を一瞥してから、背を向けて出ていった。

「兄ちゃん! 行かないでよ!」

「放っときなって。大丈夫だよ」星野結花はメニューをぱらぱらめくりながら言う。「ほら、これも食べられる!」

「うん!」新山玖は勢いよくうなずいた。

窓際の席では、村井章宏と村井佐奈子が、個室から出てきた男に視線を向けていた。

「いまの……新山家の御曹司?」佐奈子の目に、かすかな憂いがよぎる。「結花ちゃんと、どういう関係なの…...

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