第9章

 蓮が病室から出てきた時、その顔色はどこか上の空で、角を曲がったところで私にぶつかりそうになった。

 彼の顔は紙のように真っ白で、その目には驚愕と後悔の色が満ちていた。

 私は彼を避けて病室のドアを開け、中へ入った。

「どう? 傷はまだ痛む?」

 私はベッドのそばに腰掛け、父のためにどら焼きの皮を剥き始めた。

「さっきの蓮君、すごく顔色が悪かったけど、借金のことを知らなかったのかい?」

 父が心配そうに尋ねてきた。

「知らないんじゃないでしょうか」

 私は軽く答えた。

「たぶん、時間が経ちすぎて忘れてしまったんですよ」

 父は何か言いたげだったが、結局それ以上は追及してこ...

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