第6章
翌朝、私は予定通り病院へ向かった。誠先生は治療計画を調整し、化学療法の投与量を増やした。薬剤が血管を流れていく中、私は昨日拓海が言ったこと――「この家から出ていけ」という言葉を思い出していた。
これが、本当に最善の結末なのかもしれない。
その日の午後、病院から戻った私は、さらに疲弊した体を引きずって家路についた。化学療法の副作用で一歩一歩がふらつきながら歩いたが、玄関先の光景を目にした瞬間、心臓が止まるかと思った。
門のそばに三つのスーツケースが綺麗に並べられていた――私のスーツケースだ。
どうやら拓海はもう決心してしまったらしい。
震える手で玄関のドアを開けると、リビ...
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