第7章
誠の車で街を走り回り、ようやく桜丘市東区にあるこの寂れたアパートにたどり着いた。
私は入り口に立ち、錆びついた鍵を握りしめる。壁のペンキは剥がれ落ち、廊下は薄暗い。家賃月五万円のワンルーム――それが、今の私に払えるすべてだった。
白石の屋敷に居場所を見つけるまでに十七年もかかったのに、追い出されるのはたった一日で済んだ。
「ひどい場所だな」誠は狭い廊下を見渡し、顔をしかめた。「もっといいところを探してやる。金の心配はするな」
「ううん、いいの」私は静かに首を振り、ドアを押し開けた。「ここなら私にも払える。それで十分」
もう、誰にも何も借りを作りたくなかった。
部屋は...
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