第7章

 悠人と正一は、私の静かな暮らしの縁を、容赦なく踏み越えてきた。

 書店の真向かいにあるマンションで、彼らはフロアをまるごと借り上げたらしい。

 毎朝、私が店のガラス扉を押し開けるたび、階段のところに露をまとった白い梔子の花束が置かれていた。かつて、私が唯一好きだった花。けれど私は無表情のままそれを拾い上げ、ためらいなく脇のゴミ箱へ放り込む。

 悠人は、さらに陰で私の生活に手を回した。

 書店にはいつの間にか裕福そうな学生客が増え、深夜に界隈をうろつく酔っぱらいに遭遇しても、どこからともなく黒服の護衛が現れて、さっと片づけていく。まるでマフィアのボスみたいな権勢で「守ってやってる」つ...

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