第3章

若菜視点

私は弁護士の小島さんの隣、二列目の席に座っていた。通路を挟んだ向こう側では、佐藤翔太が彼の弁護士である高橋さんと共に、完全に落ち着き払った様子で腰かけている。

落ち着いて。証拠はあるんだから。

だが、心臓の速鐘は鳴りやまなかった。

「全員起立。森田裁判官、入廷されます」

私たちは立ち上がった。裁判官は五十代ほどの女性で、白髪交じりの髪をきついお団子に結い上げている。厳格そうだが、公正な人物に見えた。私はそれを良い兆候だと受け取ろうと努めた。

「ご着席ください。本日は、未成年の子、佐藤勇人君の親権に関する、佐藤氏対宮本氏の案件について審理を行います」森田裁判官は数枚の書類に目を通した。「では小島さん、始めてください」

小島さんが立ち上がり、ネクタイを直した。「ありがとうございます、裁判長。私の依頼人、宮本若菜は、六歳になる息子、勇人君の主たる監護権を求めております。彼女は勇人君の出生以来、主たる養育者として、安定した家庭環境と継続的な養育を維持してまいりました」

彼女は前へ進み、裁判官の机の上にファイルを置いた。「佐藤氏が婚姻期間中、現在の鈴木美穂さんとの関係を含め、複数の不貞行為に及んでいたことを示す記録証拠がございます。これは、彼が主たる親権者として不適格であることを示す、不誠実さと不安定さの常習性を証明するものです」

私は森田裁判官が、写真、携帯電話の記録、クレジットカードの明細書をめくるのを見ていた。あの二週間で私が集めた、すべてのものを。

佐藤翔太の弁護士である高橋さんが立ち上がった。「裁判長。依頼人の私的な関係は彼自身の問題であり、父親としての適格性とは何ら関係ありません。この法廷で問われている問題は単純です。佐藤勇人君にとって、どちらが最善の環境を提供できるかとのことです。私の依頼人には安定した職業があり、快適な家があり、そして最も重要なことに、息子との強い絆があります」

「佐藤さんは、勇人君の生活に積極的に関わってきました」と高橋さんは続けた。「学校行事、スポーツ活動、寝かしつけ。彼はそばにいて、関わり、愛情を注いでいました。宮本さんの弁護士が言及された不貞行為は、子供が関与しておらず、彼の親としての能力に影響しない、大人同士の問題です」

森田裁判官は書類を置いた。「いずれかの当事者は、お子さんに証言させることを希望しますか?」

胃がひどく締め付けられた。「いいえ」と、私はあまりにも大きな声で言ってしまった。小島さんが私の腕に手を置いた。

「裁判長」と高橋さんが滑らかに言った。「勇人君自身から話を聞くことが有益であると考えます。六歳であれば、親権の取り決めについて自らの希望を表明する能力はあります」

「とんでもない」と小島さんが言った。「勇人君はまだ幼すぎます。そのような精神的苦痛を経験させるには――」

「自分がどこに住みたいかについて意見を持つには十分な年齢です」と高橋さんが割り込んだ。「そして、これが親権争いであることを考えれば、彼の希望も考慮されるべきです」

森田裁判官が私を見た。「宮本さん? あなたのご意見は?」

口の中がからからに乾いた。「私は……彼に選ばせたくありません。まだ子供なんです。そんな立場に置かれるべきではありません」

でも、彼が何を言うかはもうわかっている。彼が佐藤翔太と一緒にいたいと思っていることは、もうわかっているのだ。

「にもかかわらず」と裁判官は言った。「この件の性質を鑑み、勇人君から話を聞くのが適切だと判断します。廷吏、お子さんを中へ」

「やめて」と私は囁いた。「お願い、やめて……」

小島さんが身を寄せた。「大丈夫です。深呼吸してください」

ドアが開き、勇人が廷吏と手をつないで入ってきた。法廷が人でいっぱいなのを見て、彼は一瞬立ち止まった。それから彼の目は佐藤翔太を見つけ、ほっとしたように表情を緩めた。

こっちを見て、お願い。私を見て。

でも、彼は見なかった。

廷吏は彼を証言台へ連れて行った。彼がマイクに届くように、補助椅子が用意されていた。勇人はその上に登った。足が地面に届かないため、ぶらぶらと揺れている。

「こんにちは、勇人君」森田裁判官は優しく言った。「今日、どうしてここにいるか、わかるかな?」

勇人は頷いた。「お母さんとお父さんが離婚するから」

「その通りよ。それでね、私たちは勇人君がどう思うか知りたいの。いいかしら?」

「うん」

「勇人君、お父さんとお母さんは、これから別々のおうちに住むことになるってことはわかる?」

「うん」

「それで、ほとんどの時間をお父さんとお母さんのどちらと一緒に住みたいか、選ばないといけないの。それもわかる?」

勇人はまた頷いた。

森田裁判官は彼に微笑みかけた。「勇人君、どちらと一緒に住みたいか教えてくれる? お母さん、それともお父さん?」

私は息をのんだ。何が来るかわかっていたのに、愚かな自分の一部はまだ希望を抱いていた。

「お父さん」と勇人は言った。はっきりと、きっぱりとした声で。

私の中で何かが砕け散った。

「どうしてお父さんと一緒に住みたいのか、理由を教えてくれる?」と裁判官は尋ねた。

勇人は自分の手元に視線を落とした。一瞬、彼は答えないのかもしれないと思った。これが間違っていること、佐藤翔太に操られていることに気づくかもしれない、と。そのとき、彼は顔を上げ、まっすぐに私を見た。そして彼の瞳の中にある何かが、私の全身の神経に危険を叫んでいた。

「だってお母さんが、僕を叩くから」

法廷は静まり返った。

「すみません?」森田裁判官は身を乗り出した。「勇人君、それがどういう意味か、説明してくれるかしら?」

「お母さんは僕を叩くんだ」と勇人は言った。「それに、いつも僕に怒鳴る。ひどいことも言うんだ」

「違う」私は囁いた。「そんなことない。勇人、それは――」

小島さんが私の肩を強く握った。「話さないでください。最後まで聞きましょう」

「どんなひどいことかしら?」裁判官は優しく尋ねた。

「僕は邪魔だって言うんだ。僕が人生を台無しにしたって」勇人の目は今や潤んでいた。「僕の相手をしたくないときは、部屋に閉じ込める。それに、デザートは絶対に食べさせてくれない」

「お母さんは僕を愛してない」勇人はそう言って、一筋の涙を頬に伝わせた。「お父さんは僕を愛してる。お父さんは僕に優しい。僕はお父さんと一緒にいたい」

息ができなかった。部屋がぐるぐる回り、肺に十分な空気を送り込めない。法廷にいる誰もが、まるで私が怪物か何かであるかのように私をじっと見つめている。

高橋さんが立ち上がった。「裁判長、これらの深刻な申し立てに鑑み、宮本さんの子供への処遇について、即時の調査を要求します。この身体的、精神的虐待の告発は――」

「嘘です!」私は立ち上がった。「私は彼を叩いたことなんてありません! 部屋に閉じ込めたこともありません! 勇人、どうしてそんなことを言うの?」

「宮本さん!」森田裁判官の声は鋭かった。「お座りなさい」

「でも、彼は嘘を――」

「お座りなさい」

小島さんが私を椅子に引き戻した。全身が震えていた。

森田裁判官は勇人を見た。「ありがとう、勇人君。もうお父さんのところへ戻っていいわよ」

勇人は証言台から慌てて降りると、佐藤翔太のもとへ一直線に走っていった。佐藤翔太は彼の肩に腕を回し、ぐっと引き寄せた。保護者然とした父親を演じている。

裁判官は小島さんの方を向いた。「小島さん、これらの申し立てに鑑み、いかなる親権の決定が下される前にも、児童保護サービスによる全面的な調査を命じます。審理は再開します」

「裁判長」私の声はかすれていた。「親権の申し立てを取り下げたいと思います」

部屋は再び静まり返った。小島さんが私の腕を掴んだ。「宮本さん、何を言ってるんですか?」

「取り下げます」私は言った。勇人を見ることはできなかった。佐藤翔太の満足げな笑みを見ることもできなかった。「申し立てを取り下げます。彼に完全な親権を渡します」

「宮本さん」森田裁判官はゆっくりと言った。「今取り下げれば、ご自身の親権を放棄することになると理解していますか――」

「理解しています」私の手はひどく震えて、小島さんが渡そうとするペンをほとんど握れなかった。「どこに署名すればいいですか?」

「宮本さん、待ってください」小島さんは声を低く保った。「そんなことをしないでください。この申し立てには対抗できます。あなたが良い母親であることを証明できます――」

でも、勇人が私を愛していることは証明できない。彼が私と一緒にいたいと思わせることはできない。

「書類をください」と私は言った。

小島さんは長い間私を見つめていた。それから彼女は親権合意書を取り出し、私の前に置いた。

私は一行一行に自分の名前を署名した。まるで自分の心臓を差し出しているような気分だった。顔を上げると、佐藤翔太が小さく残酷な笑みを浮かべて私を見ていた。

「ようやく諦めたか?」彼は静かに言った。「何週間も前にこうすべきだったんだ」

私は答えなかった。ただ立ち上がり、皆の前で完全に崩れ落ちてしまう前に、法廷から歩き去った。

裁判所のドアを押し開けると、秋風がジャケットを突き刺してきた。階段を三段降りたところで足の力が抜け、冷たいコンクリートの上にどさりと座り込んでしまった。

私は、自分の息子を手放してしまった。

「若菜」

顔を上げると、佐藤翔太が勇人の手を引いてそこに立っていた。勇人は私を見ていたが、その表情はまるで他人を見るかのように無表情だった。

「勇人」私は言った。自分の耳にも、声が壊れているように聞こえた。「どうしてあんなことを言ったの? お父さんにそう言うように言われたの?」

「誰も何も言ってないよ」勇人は言った。彼は佐藤翔太の手を振りほどき、腕を組んだ。「僕が言いたかったことを言っただけ」

「でも、勇人、あんなの全部嘘じゃない。私は一度も叩いたり――」

「もうお母さんでいてほしくない」勇人は遮った。「諦めてくれて嬉しいよ」

その言葉が私を突き刺し、喉から漏れ出る声を抑えられなかった。それは喘ぎと嗚咽の中間のような音だった。

「勇人、お願い――」

「つまらないんだ」彼は言った。「他のお母さんみたいにきれいじゃないし。楽しいことも何もしてくれない。仕事して、ご飯作って、僕にやっちゃダメなことばっかり言う。美穂さんの方が好き。彼女はきれいで、バイオリンを弾いて、僕に優しいんだ」

こんなことが起こるはずがない。私の息子が私にこんなことを言うなんて。

「美穂さんが僕の新しいお母さんになるんだ」勇人は続けた。「ね、お父さん?」

佐藤翔太の手が勇人の肩に置かれた。「その通りだ、相棒」

私は佐藤翔太を見た。彼の目には勝利の色が浮かんでいた。彼は勝ち、それを自覚していた。

「勇人」私はもう一度試みた。「あなたは私の息子――」

「もう戻ってこないと約束できる?」勇人は尋ねた。「そうすれば、美穂さんが正式に僕のお母さんになれる? ただ……いなくなってくれるって約束できる?」

私がかろうじて保っていた最後の力が、砕け散った。

「ええ」私は囁いた。「約束するわ」

そして、彼らは一緒に歩き去っていった。

私は裁判所の階段に座り、彼らが角を曲がって見えなくなるのを見ていた。

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