第10章

私は録画を停止し、ゆっくりとスマホをしまった。それから、二人がまったく予期していなかったであろう行動に出た――笑い始めたのだ。

神経質な笑いでも、怯えた笑いでもない。体の奥深くからこみ上げてくる、本物の、心からの笑いだった。

川崎順平と山本涼太は二人とも殴り合いをやめ、まるで頭がおかしくなったかのような目で私を凝視した。二人とも泥と血にまみれ、服は破れ、完全に混乱した様子だった。

「もう喧嘩はやめていいわよ」私の声は、どこまでも冷静だった。「あなたたち、完璧に役を演じてくれたわ」

山本涼太は川崎順平のシャツを掴んでいた手を離し、荒い息をついた。「一体、何の話をしてるんだ?」

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