番外 宮本利

田中言はまるで別人のようになった。

いや、違う。

もともと、田中言はあんなにひどい人間ではなかったはずだ。

私と田中言の物語は、T大学のキャンパスから始まった。

初めて会った時、彼女の瞳は東京での生活への憧れにきらめき、その笑顔は目を逸らせないほどに眩しかった。

私たちは二人とも地方都市の出身で、卒業後は東京で身を立てるという夢を抱いていた。

あの頃の彼女は明るく気さくな性格で、私たちはよく一緒に深夜まで図書館で勉強し、卒業後、この華やかな大都市でどうやって戦っていくかを語り合ったものだ。

卒業後、現実の厳しさが彼女を少しずつ変えていった。

彼女は階級の差、...

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