第103章 八幡誠言、まさか私に惚れたのか?

病室の空気が、すうっと抜け落ちたみたいだった。

若林詩羽は緊張で指先まで震え、反射的に浜田新の袖をぎゅっと掴む。唇が何度か動いたのに、声にならない。

浜田新だって余裕はなかった。背筋を伸ばし、正しさを装おうとするものの、視線は泳ぎ、八幡誠言と目を合わせようとしない。

沈黙が続くのを見て、八幡誠言の声がさらに低く落ちた。

「言え」

怒鳴られ、若林詩羽はびくりと肩を跳ねる。思わず鳴海絃星を見た。

鳴海絃星の瞳は、氷で鍛えた刃みたいに冷たく、まっすぐこちらを貫いてくる。警告にも見えるし、嘲笑にも見える。

若林詩羽は一瞬で板挟みになった。

八幡誠言が今、鳴海絃星をどう思っているのか分...

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