第106章 まさか離婚したくないんじゃないだろうな

鳴海絃星は、興奮のあまりほとんど一睡もできなかった。

その高ぶりは、無数の蟻が血管の中を這い回っているみたいで、寝返りを打っても打っても落ち着かない。

天井を見つめ、羊を何匹数えたかも分からないのに、頭の中は昼間みたいに冴え切ったまま。

カーテンの隙間から差し込む光が、黒から灰へ、灰から白へ変わっていく。彼女はついに諦めた。

6時。

スマホを手に取り、八幡誠言とのトーク画面を開く。打ち込んだ。

【今日10時、市役所。忘れないで】

既読がついた。――これなら返事が来るはず。

そう思って待ったのに、どれだけ時間が経っても返信はない。

鳴海絃星【まさか、今さら反故にする気?】

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