第109章 男を探しに来たのは満たされてないからだろう

八幡誠言は「チッ」と舌打ちし、顔を背ける。舌先で殴られた頬の内側を軽く押し、怒るどころか、むしろ笑った。

彼は手を伸ばし、鳴海絃星の顎をつまんで、ゆらりと頭を揺らす。

「鳴海絃星」

今の平手が『うっかり』だなんて、信じるほうがどうかしている。

「ん~」

数回揺らされても、鳴海絃星は眉をひそめただけだった。何かをもごもご呟き、彼の手からするりと抜け出すと、寝返りを打って窓のほうへ顔を向け、そのまま動かなくなる。

八幡誠言は目を細めた。

「演技だけは一丁前だな」

身を寄せ、唇が耳朶に触れそうな距離で囁く。

「そのまま誤魔化すなら……こっちも遠慮しない」

――それでも、鳴海絃星...

ログインして続きを読む