第110章 彼はあなたを愛しているの?

八幡誠言は、自分の名を呼ばれたその瞬間、胸の奥を何かにそっと小突かれた気がした。

喜びが、水面に落ちた雫みたいに、じわり、じわりと波紋を広げていく。

――夢の中でまで俺の名前を呼ぶってことは、まだ心のどこかに俺がいるってことだろ?

「八幡誠言……このクソ野郎……人でなし……最低……」

鳴海絃星のその先の言葉で、八幡誠言の口元に浮かびかけた笑みは、凍りついた。

「恥知らず……下品で卑怯で……」

声は次第に掠れて、寝言みたいに曖昧になっていく。なのに罵りだけは妙に滑らかで、先祖代々から子孫の代まで、ひとつも取りこぼさない勢いだった。

八幡誠言は怒るどころか、思わず笑ってしまう。そこ...

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