第113章 一人で来い

「……見てない」

八幡一辰は視線をあちこちに泳がせ、八幡誠言の目をまともに見ようとしない。

誠言が息子の性格を知らないはずがなかった。――嘘だ。そう確信した瞬間、声が低くなる。

「八幡一辰。最後にもう一度だけ聞く。川野梓を見たのか?」

その口調だけで、父が本気で怒っているのが分かった。一辰はもう隠しきれない。けれど、肝心のところは濁したまま、言い訳みたいに吐き出す。

「……今朝、学校の門のところで見ただけだよ。ママがあいつのことで俺を叩いたから、腹が立って……ちょっと言い返しただけで……」

「それだけか?」

「それだけ。言ったあと、俺は学校に戻った。本当に、どこ行ったかなんて知...

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