第121章 八幡誠言が女の機嫌の取る方法を学べる

八幡誠言は傷口が感染し、そのまま入院することになった。

しかも病室は、よりにもよって白鳥縁一の隣。

壁が薄いのか、防音が甘いのか――隣の会話が、やけにはっきり耳に入ってくる。

「縁一兄さん、傷……まだ痛む?」

「夜、何食べたい? 買ってくるよ」

「りんご食べる? 剥いてあげようか」

その甲斐甲斐しい気遣いを聞くほどに、八幡誠言の顔色はみるみる悪くなっていった。

――ああいう声。

ああいう言い方。

あれは、彼女が自分には一度も向けなかったものだ。

鳴海絃星は、八幡誠言に対していつだって皮肉と冷笑だった。言葉の棘で刺し合い、まるで世界でいちばん醜い言葉をぶつけてやると言わんば...

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