第138章 若林詩羽を救ったのは……

鳴海絃星はカップの縁を指先で何度もなぞり、八幡誠言の言葉を量っているようだった。

どれくらい時間が経ったのか。彼女はようやくカップを置き、墨を溶かしたように澄んだその瞳で彼を見据える。

「無理よ。たとえ復縁したって、私たちの間に愛情なんてない。そんな家で育つ子が、まともに幸せになれると思う?」

一拍置いて、絃星は椅子から立ち上がった。

「それに、私は今、結婚するつもりがない。もし将来そういう相手ができたとしても……その人は絶対にあなたじゃない」

八幡誠言の表情は、微塵も揺れなかった。最初からその答えを知っていたかのように。

ただ、膝の上に置いた指が、わずかに丸まる。

――復縁が...

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