第139章 弦星の好み

S市の市場は、鳴海家がずっと狙ってきた。だが千峰グループとは手を組めず、残る選択肢は八幡グループだけ。

――けれど鳴海絃星は、八幡誠言と一切関わりたくなかった。たとえ仕事の上だとしても。

どうするべきかと考えあぐねていた、そのとき。

白鳥縁一から電話が入った。

「絃星。S市で新しい案件を立ち上げたんだが、ちょうど組める相手が足りない。興味あるか?」

さっきまで悩んでいたのに、次の瞬間にはこれだ。

……わざとだ。

千峰グループとの話が流れたことを、彼は知っている。だからわざわざ、降りるための階段を差し出してきたのだ。

絃星が断ろうと口を開くより先に、白鳥縁一が被せる。

「勘違...

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