第140章 自分の立場をわきまえろ

八幡誠言が白鳥縁一を見る目は、殺せるほどに冷え切っていた。

――海老は好きなのに、蟹は嫌い?

「なるほど。八幡社長は奥さんのこと……いや、元奥さんのことを、何ひとつ分かっていなかったわけだ。そりゃ絃星も、どんな手を使ってでも離婚したがる」

白鳥縁一の言葉は刃物みたいに、狙い澄まして八幡誠言の胸を抉った。

蟹の殻を剥く手が、宙で止まる。白鳥縁一はその視線を真正面から受け止め、口元に淡い笑みを浮かべた。

個室の空気が、じっとりと重い。

鳴海絃星は黙ったままポケットからスマホを取り出し、こっそり土井優夕にメッセージを送る。

【優夕、タカレストランまで迎えに来てくれる?】

都合のいい...

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