第142章 前だって見たことあるだろ

八幡誠言の指がバスタオルの端にかかり、今にも下へ引き落とそうとする。

鳴海絃星の瞳孔がぎゅっと縮んだ。熱いものに触れたみたいに、反射で顔を横へ弾く。声は焦って尖る。

「八幡誠言! ふざけないで、変態!」

八幡誠言は、耳たぶから首筋まで真っ赤に染まった彼女を眺めて、ふっと笑った。

「何を今さら。前だって見たことあるだろ」

鳴海絃星の耳の奥が、さらに熱を帯びる。

羞恥と苛立ちが一緒くたになって、言葉が荒くなった。

「岩崎深、もう来る時間でしょ。さっさと着替えて出てって」

言い捨てるなり、彼女は寝室へ早足で入る。扉を閉め、鍵までかけた。

まるで――八幡誠言が追ってくるとでも言うみ...

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