第149章 見るもんはもう見てるだろ

八幡誠言のあからさまな敵意を受けても、あの少年はただ、ふっと笑っただけだった。

鳴海絃星は気まずそうに、八幡誠言に握られた手を引き抜こうとする。けれど大きな掌は、まるで鉄で鋳たみたいにびくともしない。

振りほどけないまま、彼女は少年に向かって言った。

「連絡先、教えて。服、洗って返すから」

「いくらだ。俺が買い取る」

八幡誠言は爆発寸前だった。連絡先だと? 正気か。

「いいです。一着くらい」

少年はそれだけ残し、背を向けて去っていく。

鳴海絃星はその背中を見送って、胸の奥がちくりとした。

彼女が目を離さず男を見つめているのが気に食わなくて、八幡誠言の苛立ちはどんどん膨れ上が...

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