第162章 若林詩羽が裸にされて道路に投げ捨てられた

廊下の灯りが、彼の背後から差し込んでくる。逆光のせいで、その顔は半分だけ闇に沈んでいた。けれど――その輪郭だけで分かる。千峰毅宏が見慣れすぎるほど見慣れた男だ。

しばらくして、ようやく声が出た。

「……父さん? どうしてここに」

千峰山夫は髪を一糸乱れず撫でつけ、刻まれた皺は刃物で彫ったように深い。年月の重さと、逆らわせない威圧がそこにあった。

山夫は毅宏を見据える。濁った瞳の奥で、抑え込んだ怒りがどろりと渦巻いていた。

「お前が普段なにをしていようが、俺は見て見ぬふりをしてきた。口も出さん。だが今回は違う」

低い声が、廊下の空気を切り裂く。

「家のツテを使って、あんな女を助け...

ログインして続きを読む