第17章 身分が露見しそうだ

八幡誠言は、自分がそう言えば、鳴海絃星は怖がって振り向くとでも思ったのだろう。

だが彼女は、背中が視界から消えるまで一度も振り返らなかった。こちらを見もしない。

八幡誠言の眉間が、ぎり、と深く寄る。

そのとき、首筋がむず痒いことに気づき、彼は苛立たしげにネクタイを指で引いた。

白い喉元に、赤い発疹がぶわっと広がっている。

――ちっ。

海鮮アレルギーだったことを忘れていた。さっき鳴海絃星が食べていたのは、エビだ。

呼吸が急に浅くなる。喉を、見えない手で締めつけられているみたいに。

皮膚を這う刺すような痒みが神経を削り、額に冷たい汗が細かく滲んだ。

「八幡社長、大丈夫ですか」

...

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