第179章 白鳥縁一が失踪した

白鳥縁一の結婚後の暮らしは、終始、沈黙と荒廃に支配されていた。息をしているだけの家。季節が巡っても、何ひとつ芽吹かない。

愛のない結婚に閉じ込められた彼は、来る日も来る日も、悔いと寂寥の中で擦り減っていった。

結城栞の優しさも、気遣いも、どこまでも譲るその姿勢も――彼の心を一片たりとも動かせなかった。

家の圧。世間体という鎖。義理と人情の絡みつく糸。

もう、身も心も限界だった。

折よくその日、ミャンマーの鉱山で小さなトラブルが起きた。

本来なら彼が出向く必要はなかった。だが家から逃げる口実が欲しかった彼は、迷いなく自分で行くことを選んだ。

……

ところが。

白鳥縁一がミャン...

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