第184章 彼女、もらうぞ

ライトの下、若い男がゆっくりと部屋へ入ってきた。

背筋の通った長身。陽だまりみたいに明るい顔立ちで、整った目鼻立ちがやけに目を引く。

鳴海絃星は一目で気づいた。前に自分へ上着を掛けてくれた、あの少年だ。

神野綺生は、絃星が自分を認めたのを見ると、口元を吊り上げて笑った。

「また会ったね」

清潔で、澄んだ雰囲気。人畜無害――そう見える。

けれど彼の周りには、言葉にできない圧がまとわりついていた。上に立つ者だけが纏う、掌握と支配の気配。近づくだけで呼吸が浅くなる。

神野綺生は鳴海絃星の前に立ち、彼女を背にかばうようにして八幡誠言を見据えた。そして、一語ずつ噛みしめるように告げる。

...

ログインして続きを読む