第19章 彼女は私のことがとても嫌いなのだろうか

八幡誠言は、肝心の話題に入る前に車から降ろされた。

冷えた空気が支配する、人気のない路肩。八幡誠言の顔色はどんよりと沈み、今にも絞れば水が出そうだった。

――このS市で、いったい誰が俺にこんな真似をする。

けれど骨の髄まで染みついた品格と教養が、沸き上がる怒りを無理やり飲み込ませた。

「誠言……ねえ、あの鳴海嬢、私のこと嫌ってる気がするの。私、何か変なこと言っちゃった?」

「お前のせいじゃない。悪いのは鳴海絃星だ。あいつが外で好き勝手噂を撒いてるから、みんなお前に偏見を持つ」

今夜の不運も鬱屈も、ぜんぶ鳴海絃星のせいにしてやる。

――あの女は、俺の人生最大の汚点で、厄介者だ。

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